り揚げないよう注意している。
(七千トン級F、船長)
4、航行船舶
神子元島沖八海里〜龍王崎沖五海里付近を東航時、同海域は船舶のふくそう海域であり、また東京湾から大島東側を南下して西航する大型船が多いので、利島に一・五海里ていどまで接近して航行する。(一万三千トン級F、一航士)

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5、航法
明石航路西口付近の午前四時半から五時ごろまでの問は、カンタマから砂船がふくそうし、西方ブイまたは中央第一号ブイに向けてまちまちに入航し、また航路内に漁船が操業して航路が狭い感じがする。東口付近は紀伊水道、大坂港、神戸港、泉州付近の四方八方から入坑するので注意を要する。
明石海峡から神戸、大阪港へ夜間または早朝航行時は、陸上の照明と船舶の灯火が交差し、他船の確認が遅れ危険な場合がある。
(四千トン級F、船長)
6、地形
備讃瀬戸南航路第五号〜第七号ブイ間において航路端は航路両脇が浅いため、航路側線付近を航行中、側壁効果(影響)によって舵が取られるため、この海域ではできる限り航路中央付近を航行し、無理な追い越しをしないようにしている。(一万トン級F、三航士)
〈参考〉側壁影響 船の喫水、船幅に比べて浅く狭い河川、運河のような水域を一般に制限水域という。このような水域を船が走ると、広く深い洋上を走る場合と違い、船の運動に浅水影響が現れ、狭くなるとこの浅水影響が助成され、さらに側壁と船体に生ずる吸引反発の相互作用が側壁影響となって現れるようになる。この両者の混合影響を制限水路影響という(以下略)=本田啓之輔著「操船通論」成山堂から=
7、漁船の横切り
犬吠埼灯台から半径十海里の海
域は、銚子港を出入りするまき網漁船群との横切り関係、操業中の漁船群(多いときには数百隻一との遭遇、春から夏にかけての濃霧による視界不良と注意を要する海域である。
(一万二千トン級F、船長)
おわりに
この冊子は、旅客船の安全運航に有効に活用されているが、旅客船運航者に限らず沿岸海域を利用している他種の船舶の運航者にも参考になる内容のものと考える。
今回の内容は旅客船運航者のみの情報となっているので、今後これに他の船種の運航者からの沿岸情報を加えれば、より充実したものになると思う。
《おしらせ》冊子は一冊送料込み八百円で販売しております。ご希望の方は、氏名または団体名・送り先・電話番号・部数を明記してファックスで(社)日本旅客船協会労海務部まで申し込みください。
電話03−3501−6766、ファックス03−3580−7842

 

 

 

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